「カジノ・バリエール・カシスはマルセイユ近郊で最高のカジノだ。」とスリム・マッコイが言った。
「最高の料理って意味だろ？」とディミターが冗談を言った。
「もちろんさ！」
4人はキャッシュテーブルへ向かい、サムがカードルームマネージャーと話をした。その前に、彼らは食事を楽しんだ。柔らかく焼き上げたサーモンと野菜、絶品のバニラレモンシラバブ、そして彼らがこれまで味わった中で最高のワインを堪能した。
「彼が死んだなんてまだ信じられない。」とディミターが言い、皆が思っていたことを口にした。「昨日、彼は俺を殺すことができた。でも今、俺たちは自由だ。」
仲間たちを見上げながら、彼はグラスを掲げた。
「この食事をありがとう。」とディミターはスリム・マッコイに真剣に感謝を述べた。「そしてプールから俺を助けてくれたことも。」
「俺にヘッズアップのポーカーゲームを約束しただろ。俺は価値を追求する男だ。」
「クルーズ船で俺を倒したからって…」
「2回も！」とマッコイが笑った。
「そうだ、2回だ。3度目の正直って言うだろ、サム？」
サム・ヒューストンはシルクのテーブルクロスの上に飲み物を置いた。
「エレナがその正直だ。そして君はついに彼女を取り戻した。」
エレナは赤面し、ディミターに唇を重ねた。彼女は彼を愛おしそうに見つめた。
「あなたを永遠に失ったと思っていた。」と彼女は嘆いた。
「そんなことはない。俺は君を探し続けるつもりだった。」
「分かってる。フランスは素晴らしいし、この料理も最高だけど…この後、家に帰れる？」
「君たちのためにファーストクラスの列車のチケットを予約してある。」とマッコイが発表した。「俺の金で払ったんだ。ディミターの資金には影響しないって彼に伝えてある。」
皆が笑ったが、ポーカーゲームの真剣な雰囲気はディミターの心から消えることはなく、カードルームに到着する頃には完全に集中していた。彼らは2人だけでヘッズアップポーカーをプライベートステークスでプレイするためのテーブルを購入していた。カジノの外にある何千ものライトがカードルームを穏やかな琥珀色に染めていた。今回はディーラーがいて、エレナは安全で、ディミターには何の脅威もなかった。
しかし、今度は€200万が賭けられていた。
「全額を賭けるなんて君はクレイジーだと思う。スリムは上手いけど…俺は君を信じてる。」とサムが言った。彼とエレナは近くのテーブルに座っていた。彼らは休憩なしでプレイすることにしており、今回は全てが賭けられていた。ディミターの€200万とスリム・マッコイが出した同額だ。
「この後、どこに行くの、サム？」とエレナが尋ねた。「ディミターの命を救ってくれたのに。」
「どこかのテーブルにいるだろうね。長居することはないよ。君の彼氏にこれ以上戦略を教える約束はできないけど…もう必要ないと思う。」
ヘッズアップゲームは4時間23分続いた。彼らは速いブラインドに合意しており、最終ハンドがプレイされた時点でディミターがより優れたプレイヤーだった。
「チップはほぼ同じくらいか？」とマッコイが尋ね、ハートのエースキングでレイズした。ディミターは同じスーツの7と8でポジションからコールした。
「君の方が少し多いと思う。でもこれは大きな勝負になるかも。」とディミターが言った。
フロップにはハートの9と10、そして無害なクラブの3が出た。マッコイは再びベットし、今回はかなり大きな額だった。ディミターはコールした。
ターンはスペードの4だった。ストレートフラッシュドローがオープンエンドになった、とディミターは思った。これが彼がずっと抱いていた夢を叶えるチャンスかもしれない。
マッコイがベットし、ディミターがコールした。プレイ中のチップのほぼ70%がポットに入っていた。
リバーはハートの6だった。悪魔のカードだ。内心ではディミターは笑っていたが、外見では何も見せなかった。彼は再びスリムにチェックした。
「ついに君を捕まえたと思う。オールインだ。」とスリムが笑いながら残りのチップを前に押した。
「ナッツフラッシュか？」とディミターが尋ねた。スリムの目の輝きが彼を裏切った。それは完璧だった。ディミターはついに彼を打ち負かした。
「コール。」
スリム・マッコイはハートのエースキングをひっくり返し、ナッツフラッシュを見せた。ディミターは自分のカードを見下ろし、ハートの7と8がストレートフラッシュを完成させているのを見た。全ての€400万は彼のものだった。
しかし、それは彼の計画ではなかった。
ディミターはほんの一瞬、カードをひっくり返して金を手に入れることを考えた。しかし、その金はすべて、ピーター・サーフが殺した人々の血で汚れていた。ヨーロッパ中でディミターが戦った戦いは、怪物に立ち向かうためのものだった。今、宝が目の前にあるが、ディミターはホテルのデスクでノートにカードを投げ始めた時から準備していたことをする必要があった。
ディミターは深呼吸し、マッコイがチャリティーに€400万を寄付することで改善される子供たちの生活を思い浮かべた。
彼は右手の人差し指と中指の間にストレートフラッシュを完成させた2枚のカードを挟み、それを完璧にマックに投げ込んだ。
ディーラーがカードを集め、ディミターは対戦相手を見つめた。
「君の勝ちだ。」
スリム・マッコイは次回作で再登場…
デッド・リンガー。
第14章.2 デッド・リンガー – 近日公開…
著者について: ポール・シートンは10年以上にわたりポーカーについて執筆しており、ダニエル・ネグラヌ、ジョニー・チャン、フィル・ヘルミュースなど、ポーカー界の最高のプレイヤーたちへのインタビューを行ってきました。これまでに、ラスベガスのワールドシリーズ・オブ・ポーカーやヨーロピアン・ポーカー・ツアーなどのトーナメントを現地で取材してきました。また、メディア責任者として他のポーカーブランドで執筆したり、BLUFF誌の編集者を務めたりしました。
この作品はフィクションです。実在する人物や出来事との類似点は純粋に偶然のものです。